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熟成した古酒の世界は、本当に素晴らしく早熟なワインにはない深い世界があります。
官能的で得も言われぬ魅力がありますが、現在そのような古酒に出会うことは希です。
今から10年ちょっと前まではそのようなワインがいくらでも手に入りました。
古酒の価格も新しくリリースされたヴィンテージのワインよりも安い場合も多く、多少のリスクはありましたがそれでもその魅力に勝てないほどの価値があったのです。
では現在の状況はどうなのでしょう。
10年前から古酒の世界には大きな変化が見られるようになりました。明らかにコンディションが落ち始めたのです。それは日本でのワインブームに起因するところが大きいのです。
以前は、古酒はドメーヌ蔵出しのものも多く、それ以外はイギリス経由で入ってくることが多かったのです。貴族などが、子孫のために購入したワイン、資産として保管していたワインを売りに出し、BBRなどの老舗のワイン商が買い取り出荷していたのです。ワインは長い間同じところで眠ることが多く、ワイン商もそれなりにワインのことを分かった上で扱っていました。
ところが、10年前のワインブーム以降需要の大きさにまずフランス国内の古酒の多くがなくなり、イギリスなどでも古酒がかなり減ってきました。
その後は、レストランなどの所有するワインを輸入しはじめました。
それが無くなると今度はスイス、ベルギー、オランダ、果てはアメリカなどのワイン商、資産家などから買い付けをはじめるインポーターが増えたのです。明らかにコンディションが見劣りするワインが増えたのはこの頃からです。
年を追うごとにどんどん品質が下がり、現在では見るも無惨といわざる得ない状況があります。
古酒の難しさは、その品質を確認しないままに買い付けをしなければならないことです。液面や濁りなどを見ても正直気休めにしかならないのです。
それでも、古酒の魅力を追い求める人はなかなか減りません。昔の素晴らしい姿を知らない人は、現在の悲惨な状況の古酒をそれが当たり前のように買い付けています。しかし正直見るも無惨なワインが多いのです。
現在日本ではリーファーを使う業者が多くなってきましたが、アメリカなどではまだまだ一般的ではありません。
アメリカの資産家が大量に買い付けたワインの中には素晴らしいワインもありますが、大半のワインはコンディション的に酷いワインが多いのです。またスイスなどでは、ほとんど凍ってしまったような低温酸化したワインが輸入されます。一時は日本は世界のワインのゴミ箱ではないかと思ったほどです。
最近では、国内のワイン愛好家からワインを買い付け販売しているインポーターもあります。これは更に酷い状況があります。
私が古酒を買い付ける場合は、信頼できるインポーターに十分確認した上でしか買い付けはしません。平行物を輸入するインポーターの多くが信頼度にかける上に、確信犯は少なく、どちらかといえば分かっていないインポーターが多いためです。
現在古酒の世界はハイリスク、ローリターンです。宝くじ以上に割りの悪い確立でしか当たらず全く持って詐欺としか言えない状態になっています。まして開けてしまってからの返品はなし。こんなリスクの高い世界は見たことがありません。
私も古酒を輸入すれば、特に有名銘柄のものを入れれば、左から右に売れていくことは知っています。しかしこのような状況では良いものがないことも分かっているのでそれはできません。結局最後に責任をとるのは消費者の皆さんなのです。
ちなみに海外から輸入すれば大丈夫だと思っている人も多いようですが、それは間違いです。
最近のワインの世界は、素人が多く参入しているために信頼度に欠ける平行品が多いのが現状です。ファンドなどでワインを運用している話も聞きますが、全く持って信用ができません。
資産家が倒産しワインを裏で処分する話は数多くありますが、すでに購入した時点で危ないワインが多いため要注意です。
古酒の世界は基本的には信頼出るところ以外は手を出さないのが基本です。
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