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地域:Minho ミーニョ
地区、村:São Julião サン·ジュリアオン
醸造·栽培責任者:Olalla & Pablo Ruibal
オラーラ&パブロ·ルイバル
【ワイナリーと造り手について】
エドムン·ド·ヴァルはオラーラとパブロ·ルイバルの姉弟が営む家族経営のワイナリー。彼らの父ラファエル·エドムンド·ルイバルは、ワイナリーのあるサン·フリアン(ポルトガル)から国境となっているミーニョ川を挟み車で5分の町、トゥイ(スペイン)の出身で、物理学者でありながら実業家として、スペインで活動していた。その一方でワインメーカーになるという夢を常に持っていたので、ポルトガル出身の母親のいとこが農園を売り出す聞いたとき、すぐに購入をすることに決めた。全オーナーによればフィロキセラ禍前は広大なブドウ畑が広がっていたそうだが、一度全ての畑が無くなってからは、再度のブドウ畑は盛んには行われなかった地域だそうだ。
農園には1790年に建てられたという石造りの家もついており、そこを醸造所とするべく改装をすると同時に、周辺12haのうち6.7haにアルヴァリーニョを植樹した。1999~2000年のことだった。しかしその後10年近くブドウの樹齢が若いことを理由にワインの醸造は行わず、その間に父の情熱を受け継いだ娘のオラーラが醸造学を学び、息子のパブロと共にワイン造りの体制を整え、満を持して2007年から醸造を始める。
畑から醸造まで一貫して職人気質の品質にこだわったワイン造りを目的としており、ビオロジック栽培のブドウは全てワイナリー周辺にあり、ブドウは自社畑のもののみを使用し、醸造や販売時期も十分に時間を取って行われている。リゼルヴァに至っては10年の歳月をかけてからリリースされる。
◆出会い
初のワイナリー訪問は2023年2月。ピコ島からポルトガル本土へ戻ってきた日の午後だった。ピコ島出立前に、とある生産者がエドムン·ド·ヴァルの名前を教えてくれた。ポルトの空港からは往復6時間の距離だったが、何度も足を運んだエリアであるにもかかわらず、取引生産者がいなかったこともあり、無理をしていくことにした。突然の訪問依頼にもかかわらず、パブロ·ルイバルはワイナリー訪問を受け入れてくれた。果たしてようやく一軒目のミーニョ(ヴィーニョ·ヴェルデ)地方の生産者となった。
【畑と栽培について】
畑はミーニョ地方を取り囲みスペイン国境ともなっているミーニョ川のすぐ南、サン·ジュリアオンの谷の北側にある。6.7haの畑は標高150mの日当たりの良い丘に、1100本/ha、コルドン仕立てで植えられている。3m×3mというのは広いようだが、アルヴァリーニョの植樹率としては最適だと彼らは考えており、畑の向きは北から南へと様々。土壌は花崗岩土壌。
ビオロジック栽培(認証:IOBC、Certis)で管理しており、敷地面積の約半分はブドウ畑ではなく、林として残しており周辺地域の生態系を維持し、長期的に土壌を肥沃に保つことを目指す。
【セラーと醸造について】
斜面に建てられたセラーは1790年に建てられたという石造りの農家で、地下室もついていたので醸造所としては十分に機能する。エドムン·ド·ヴァルのアルヴァリーニョとヴィーニョ·ヴェルデ地域の典型的なアルヴァリーニョとの違いは、すべてのワインが瓶詰めされる前に長期間澱の下で熟成され、市場に出荷されるまでに最低でも1年以上待つこと。
冷やしてのむ微発泡性の白ワインではなく、熟成能力も備えたワインを造り出すことを目標としている。というのもスペイン出身の彼らの父が当初目指していたのはリアス·バイシャスの修道士たちが造っていた、昔のシュール·リースタイルのアルヴァリーニョだったのだ。またヴィーニョ·ヴェルデ全体でも、安い微発泡の白ワインというイメージから脱却すべく、高品質な白ワインな市場を目指す造り手も2010年代以降確実に増えている。
収穫したブドウは除梗破砕後、スターターとともに醗酵を開始し、発酵温度帯は15~16度。ステンレスタンクでの熟成中は、定期的にバトナ―ジュを行い、味わいに厚みを持たせる。翌年夏にタンジェンシャル·フィルターをかけてビン詰め。エントリーレベルのソブレ·リアスでさえも瓶詰から約1年間落ち着かせてからリリースする。
◆原産地呼称について、“ヴィーニョ·ヴェルデ”か“ミーニョ”か(202307聞き取り)
エドムン·ド·ヴァルがワイナリーを構える地域は、地域のワイナリーが数件しかないことから、サブリージョンが指定されていない。また、東に隣接するモンサン·サブリージョン以外では2020年VT以前のアルヴァリーニョ100%のワインをヴィーニョ·ヴェルデで呼ぶことは認可されていない。
2020年VT以降、ヴィーニョ·ヴェルデと名付けるのかどうか。早飲み微発泡のヴィーニョ·ヴェルデの持つイメージとは違うワインを造っている彼らにとっては、ヴィーニョ·リージョナル·ミーニョでも十分に確立されたブランドがあると信じており、いまのところ呼称変更は考えていない。
また以前は彼らも、ロウレイロやトレイシャドゥーラなどの地品種を栽培しブレンドしていたが(リゼルヴァは常にアルヴァリーニョ100%だった)、2013年以降はソブレ·リアスでもアルヴァリーニョ100%へと切り替えた。2015年にはヴィーニョ·ヴェルデ全体でもヴァライエタル·ワインとしてアルヴァリーニョと表記するには、アルヴァリーニョ100%での醸造が義務付けられた。
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