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農学者で醸造家でもあるヌーノ・ミラ・ド・オーは、ポルトガルのテロワールへの評価と理解に向けたビジョンと道筋をつけて実践する者として、多くの仲間達から尊敬されている。アレンテージョ出身のヌーノは、2001年からポルトガル各地でブドウ栽培と醸造の研究に従事してきた。バイラーダで『ヴェー・プロ(V Puro)』プロジェクトを立ち上げ、ダォンでドゥルイダ(Druida)シリーズを栽培・醸造し、ブセラスで白ワインの醸造を開始。2018年には、弁護士から醸造家に転身したジョアナ・サンティアゴと『ソウ(SOU Quinta de Santiago & Mira do Ó)』プロジェクトを立ち上げた。
ミラ・ド・オー、ヴェー・プロ、そしてソウの3つのプロジェクトは、醸造哲学と新しい道を探求する意欲、失われかけていた伝統を復活させようという志を共有する仲間たちのプロジェクトだ。品質、テロワール、エレガンス、新鮮さ、味わう楽しみ、本物の味、長期熟成能力。これらはヌーノ達にとって非常に大切な、ワインを探求する際の基準となっている言葉であり、3つのプロジェクトを結びつけるものなのである。
地域:Dão & Lisboa ダォン、アレンテージョ(Mira do Ó)
Bairrada バイラーダ(V Puro)
Minho ミーニョ(SOU Quinta De Santiago)
地区、村:
São João de Lourosa/Dão, Frexial/Bucelas (Mira do Ó)
Monção/Minho (SOU Quinta De Santaigo)
醸造・栽培責任者:
Nuno Mira Do Ó ヌーノ・ミラ・ド・オー (Mira Do Ó)
João Soares ジョアォン・ソアレシュ (V Puro)
Joana Santiago ジョアナ・サンティアゴ (SOU Quinta De Santiago)
HP : https://miradoovinhos.com/
【ワイナリーと造り手について】
農学者で醸造家でもあるヌーノ・ミラ・ド・オーは、ポルトガルのテロワールへの評価と理解に向けたビジョンと道筋をつけて実践する者として、多くの仲間達から尊敬されている。彼は自身をドゥルイドと呼ぶ。古代ケルトの神秘主義者たちが、大地と植物へのつながりから自然のバランスを通じて精神的な均衡を達成する探求を推し進めたように。同様に、彼は寡黙で観察力があり、ワインに土地を語らせる能力がある。
ヌーノはアレンテージョの海岸地方の出身で、リスボンのISA (Instituto superior de Agronomia)で農業工学を、ポルトのUCP (Universidade Católica Portuguesa)で醸造学を修了。2001年からポルトガルの様々な地域でブドウ栽培と醸造に従事しつつ土壌、気候、品種、栽培法を調査していた。
ある時、地元の農家のガレージで見つけた埃を被った一本のバガのボトルが、気まぐれで終わるかもしれなかった好奇心を、人生を賭ける仕事へとむかわせた。ボトルの所有者の農夫は正確な生産年を思い出せなかったが、忘れ去られるほど古いことは間違いなく、そのワインは自家用に造られたものだった。それでも、状態の良いセラーで大切に保管されていたかのように、そのワインは輝いていた。この品種のワインは放置された状態でこんなに長持ちするのだとすれば、そのブドウ樹は特別なものに違いないと思った。そして探索が始まった。数十年前に政府が定めたクローンが、大規模な協同組合により普及する前に栽培されていた土着品種を探しはじめたのである。
やがて2009年に友人でバイラーダの大手醸造会社の醸造部長だったジョアォン・ソアレシュとともに『ヴェー・プロ(V Puro)』プロジェクトをバイラーダで立ち上げる。2012年から今は亡き親友のジョアォン・コレア(João Corrêa)とともに、ダォンでドゥルイダ(Druida)シリーズを栽培・醸造。2016年からはヌーノがワイン造りを始めた地域として思い入れのある、首都リシュボアに近いブセラスで、白ワインの醸造をはじめた。
2018年には、ヌーノの友人で、弁護士から醸造家に転身したジョアナ・サンティアゴとともに、『ソウ(SOU Quinta de Santigo & Mira do Ó)』を立ち上げた。ジョアナの実家は醸造所だったが、ブドウは組合に出荷していた。長い間雇っていた地元出身の非常に保守的な醸造家は、ジョアナが野性酵母で醸造したいと言っても受け入れてくれなかった。そこでヌーノとともに自分の目指すワインを造ることにしたのだという。スペイン国境の南にあるモンサオと隣町メルガーソのテロワールの個性を、アルバリーニョで表現しわけることを試みている。
ミラ・ド・オー、ヴェー・プロ、そしてソウの3つのプロジェクトは、醸造哲学と新しい道を探求する意欲、失われかけていた伝統を復活させようという志を共有する仲間たちのプロジェクトだ。品質、テロワール、エレガンス、新鮮さ、味わう楽しみ、本物の味、長期熟成能力。これらはヌーノ達にとって非常に大切な、ワインを探求する際の基準となっている言葉であり、3つのプロジェクトを結びつけるものなのである。
【畑と栽培について】
ヌーノのプロジェクトはテロワールの表現、自然な収量の抑制、土着品種が長期の熟成に耐えうることの証明を目指している。マサルセレクションで接木/再植樹を行っているが、自根の樹木が見つかればそれを利用する。ブドウ栽培者として土壌、気候、ブドウ樹のバランスを常に追求している。醸造の介入は最小限だが、異なるブドウ畑や区画には異なるアプローチを取り、その純粋な表現をより明確にするために醸造所でも異なるアプローチを取っている。
●ミラ・ド・オー(Mira do Ó)
ダォン
ブドウ畑はヴィゼウ(Viseu)とシルゲイロシュ(Silgueiros)の間に位置するサォン・ジョアォン・デ・ロウローザ(São João de Lourosa)にある。ダォン川の右岸、標高500mの高地に位置し、北西にはセラ・ド・カラムロ山地、南東にはセラ・ダ・エストレラ山地が主な景観と気候の影響を与えている。
花崗岩が基盤岩だが粘土分が豊富で、特に干ばつの年にぶどう畑のバランスをとるのに役立ち、より豊かなテクスチャーと奥行きのあるワインを造ることができる。
白の主力品種はエンクルザード。赤はジャエン、アルフロシェイロ、バガ、トゥリガ・ナシオナル、ティンタ・ピニェイラなど。
ブセラス
リスボンの北約20kmにあるフレイシャル地区(Freixial)に位置し、大西洋の影響が強いが谷間に保護された特有の気候。
土壌は石灰質粘土で白ワイン用ブドウのみ栽培。主な品種はポルトガルで最も栽培されている品種の一つであるアリントで、この産地で最大限のポテンシャルを発揮する。
●ヴェー・プロ(V Puro)
ブドウ畑はメアリャーダ(Mealhada)近くのカドイソシュ谷(Cadoiços)にある。ブドウ畑は海からわずか30kmの距離にあり、大西洋からの影響を遮る障壁はない。土壌は石灰質粘土で、粘土分が多く深い区画と、より石灰質で露出した区画が混在している。ブドウ樹は主に100年以上の古木で、バガあるいは「ポエイリーニョ(Poeirinho)」という品種が多い。栽培は機械化できないため、全て手作業で行っている。
●ソウ(SOU Quinta De Santiago)
ブドウ畑はミーニョ川の渓谷にあり、花崗岩を土台とする沖積テラスだが、かなりの量の粘土が含まれている。気候は大陸の影響を受けた温和な大西洋性気候で、冬は寒く雨が多く、夏は暑く乾燥し、川谷を通る空気塊によって感じられる温度変化が大きい。
栽培品種はアルバリーニョが多い。テンティリャォン区画(Tentilhão)はわずか10年しか経っていないが植生の均衡がとれており、酸を保持する能力を持ったバランスの取れた果汁が得られる。
【セラーと醸造について】
●ミラ・ド・オー(Mira do Ó)
白ワイン:酵母は添加せず、発酵は非常にゆっくりと行う。通常、約12ヵ月間の熟成の後にボトリングし、さらに瓶内で熟成させる。
赤ワイン:一部はラガール(開放発酵槽)で、足で踏んで発酵させ、その他は木製の発酵容器でやや強制的に抽出しながら発酵。通常12~24ヵ月間、樽とタンクで熟成させた後に瓶詰め。
●ヴェー・プロ(V Puro)
白ワイン:ビカルを開放式圧搾機でソフトに圧搾。清澄せずに中古の樽で野生酵母とともに醗酵。発酵した樽でそのまま約12ヵ月間熟成。収穫翌年の9月に瓶詰め。
●ソウ(SOU Quinta De Santiago)
アルバリーニョは早期に収穫。醸造はミニマリストなアプローチで。
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