Adega do Vulcão Adega do Vulcão

 アデガ・ド・ヴルカォンは、アソーレス諸島に魅せられたフィレンツェ出身の夫婦が始めたプロジェクトで、ファイアル島のブドウ栽培エリアとしての可能性を感じたそうだ。2008年に植樹を開始し、品質の良いブドウが取れるようになるまで待ち、2017年より醸造を開始。ファイアル島は1957年の海中噴火により、火山から1年以上に渡り降り注いだ大量の砂と灰が土地を覆い、その後の数十年でユニークなテロワールが生み出された。現在ピコ島とファイアル島の2つの島で合計14haの畑を所有する。夫婦はコンサルタントのアルベルト・アントニーニ氏監修の元栽培を行い、家族2世代で生産に取り組む。生産工程全体を通してできるだけ不介入自然な方法を用いることで、2つの島の2つの異なる火山性テロワールを表現する。彼らの目標は「ワインが生まれる土地の真の姿を表現するワインを造ること」。

アデガ・ド・ヴルカォン / アソーレス アメイシャンバー
IG Açores - Ameixâmbar
アソーレス アメイシャンバー

品種:アリント・ドシュ・アソーレス90%、テランテス・ド・ピコ10%
植樹:主に2008年以降
土壌:火山灰土壌(ファイアル島)
   火山性(ピコ島)、冷えた溶岩
卵型のセメント冷蔵タンクで醗酵
10ヵ月間熟成
1957年に火山噴火が起こったファイアル島のカペリーニョス地区と、ピコ島のラジド・ダ・クリアサォン・ヴェーリャ地区の自根のブドウをブレンド。
アデガ・ド・ヴルカォン / ピコ ペ・ド・モンテ・リゼルヴァ
Pico - Pé do Monte Reserva
ピコ ペ・ド・モンテ・リゼルヴァ

品種:アリント・ドシュ・アソーレス90%、ヴェルデーリョ、テランテス・ド・ピコ10%
植樹:1940年~1955年頃
土壌:火山性、冷えた溶岩
不活性化処理が施された垂直プレスで圧搾
マセレーション後、卵型のセメント冷蔵タンクで醗酵、10ヵ月間熟成
ピコ島のクリアサォン・ヴェーリャ地区の樹齢70~80年の古木。この畑は収量が非常に少ない分品質が高い。
アデガ・ド・ヴルカォン / ピコ テッラ・ブルム・リゼルヴァ
Pico - Terra Brum Reserva
ピコ テッラ・ブルム・リゼルヴァ

品種:アリント・ドシュ・アソーレス90%、ヴェルデーリョ、テランテス・ド・ピコ10%
土壌:火山性、冷えた溶岩
卵型のセメント冷蔵タンクで醗酵、澱とともに10ヵ月間熟成
ピコ島のアレイア・ラルガ地区に位置するソラ・テッラ・ブルムの畑のうち、さらに厳選されたエリアの古木。畑の歴史は古く、1796年に初代オーナーがワイン生産のために初めてその土地を開拓した。たっぷりとした果実味、豊かな塩味と鉱物感が見事に調和している。
 
 

アデガ・ド・ヴルカォンとは

 
 

アデガ・ド・ヴルカォン
地域:Ilhas dos Açores アソーレス諸島
地区、村:Ilha do Pico ピコ島
オーナー:Cinzia Caiazzo & Gianni Mancassola
         チンツィア・カイアッツォ&ジャンニ・マンカッソラ
HP: https://adegadovulcao.com/
Instagram: https://www.instagram.com/adegadovulcao/
 
アソーレス諸島について
 9つの島からなる北大西洋の火山島郡で1720年のピコ島、1957年のファイアル島での大規模な噴火が記録されている。1415世紀頃に発見され、ブドウも同時期に栽培が開始された。アンドレ・ジュリアン(フランス人の最初のワインライター)の1812年の報告によると、9つの島から合わせて1340Lのワインが生産され多くが輸出されていたらしいが、2200Lだったという説もある。しかし多くのワイン産地同様、ベト病やフィロキセラ禍が島へと伝わり、諸島全体からブドウ畑はそれにまつわる文化と共に姿を消し、ハイブリッド品種で細々と自家消費ワインを造り、アメリカ台木を利用して地品種の栽培を続けるという20世紀後半まで続いた。
 最大の島はサン・ミゲル島には人口の約半分の13万人が住んでいる。各島にそれぞれの特色はあるが、現在は酪農が盛んで諸島の総面積の半分が牧草地たちとなっている。その他トウモロコシやパイナップルの栽培も盛んだが、近年は観光業が島民の生活を大きく変えている。ワイン産業はピコ島が主要ではあるものの、テルセイラ島、グラシオーザ島、ファイアル島、サォン・ミゲル島、などでもブドウ栽培はされており、諸島全体で36のワイナリーがある(2023年)。
 
ピコ島について
ピコ島に行くと石壁(クライシュ)の入り組む海辺のブドウ畑の姿に圧倒される。石壁の長さは合計8km、地球二周分の長さがあると言われ、2004年に「ピコ島のブドウ畑文化の景観」(987haの畑)がユネスコ世界遺産に登録されたが、その実ブドウ畑として機能していたのは140haほどだった。しかし歴史を紐解くと、島外からのベト病やフィロキセラ禍の伝来により、20世紀初めにはピコ島のワイン産業は風前の灯だった。1949年に協同組合が設立はブドウ栽培文化の復活の第一歩と言うことができるだろうが島全体として大きくワイン生産量が増えたわけではない。しかしそれに合わせて行政が支援策を打ち出したことにより、島外からのワイン技術者の注目を集めるようになり、次第に生産量は増えていく。2011年時点で20Lのワインが生産され、それ以降も着実に生産量は増加。2014年にはアントニオ・マンサニータを含む有志達によりアソーレス・ワイン・カンパニーが設立。その後も島内外からのピコ・ワインへの機運は高まりつづけ、2022年時点で70Lの生産量となっている。
 
現在ピコ島には1000ha弱のブドウ畑が生産体制にあるそうで、さらに2000haの耕作放棄された畑が残っている品種の多くはアリント・ドシュ・アソーレスが植えられており、よりマイナー品種であるヴェルデーリョやテランテシュなどの地品種の再興の動きも見られる。2010年代前半にはポルトガルワインの文脈にはついぞ見かけられなかったピコ島のワインだが、2020年代に入りその特異な歴史とワインに光が再び当たり始めた。
 
【ワイナリーと造り手について】
 アデガ・ド・ヴルカォン(=火山のブドウ園)は、アソレス諸島に魅せられたフィレンツェ出身のチンツィアとジャンニの夫婦が始めたプロジェクト。始まりの場所は1957年にファイアル島の海中噴火により形成されたカペリーニョス火山の近く。噴火時に火山から1年以上に渡り降り注いだ大量の砂と灰が土地を覆い、島の産業は一時完全に止まってしまった。しかし2008年に両人が訪れた時には、ワイン栽培地として非常にユニークなテロワールがあることを確信し、ブドウを植樹することを決断。アソーレス諸島でのワイン造りをすることに決め現在はピコ島とファイアル島の2つの島で合計14haの畑を所有する。ピコ島のブドウは重要地域であるクリアサォン・ヴェーリャ地域の3ha分の古樹のブドウからもワインを造る。
ワイン醸造は2017年からのことで、トスカーナを始め世界各地で醸造コンサルタントとして活動するアルベルト・アントニーニ監修の元で栽培を行い、家族2世代でワイン生産に取り組んでいる。生産工程全体を通してできるだけ自然な方法を用い、「ワインが生まれる土地の真の姿を表現するワインを造ること」を目標に、2つの島の2つの異なる火山性テロワールを表現する。
 
【畑と栽培について】
ピコ島のブドウ栽培:東西に長いピコ島の西側にブドウ畑は主に植えられており、強風や波のしぶきによって運ばれてくる塩分を防ぐ必要から形成された。それに加え、そもそも岩をどかさないとブドウを植えられるような表土が見えてこないのだ、というブドウ栽培家からの声もある。標高150mまではDOピコを名乗ることが出来、それ以上の標高のエリアでもIGアソーレスを名乗ることはできる。しかし「最高の畑はカニの鳴き音が聞こえるところなんだよ」と島の老人達は言い、実際ブドウの成熟度は海辺のワインの方が高いとされる。日中の太陽熱を吸収した黒い火山岩から造られた石垣の夜間の熱放出により果実の成熟が早く進むのだ。
気候は典型的な海洋性気候で、穏やかな気温、小さい寒暖差、冬の大雨、および高い平均湿度で霧も頻繁に発生するので、風が強いとは言え、防カビ剤の使用は適切に行わなければならない。これらの非常に特殊な栽培状況のため植樹率も非常に少なく、ブドウの収穫量は1000kg/ha以下。
 
 
 ファイアル島のブドウ栽培:19571958年の1年以上の間渡り降り注いだ大量の砂と灰が覆った島には、噴火以降完全に手つかずの土地が多く存在し、一度も農地として利用されず自然へと帰った稀有な土壌となっている。1957年の噴火以前、更にはフィロキセラ禍以前には多くのブドウ畑が存在していたと予想されるが、現在は全て灰の下に埋まってしまった。当時とは違うテロワールで、チンツィアとジャンニによりファイアル島のワイン造りが復活したのである。
 
 
【セラーと醸造について】
  立ち上げ時からの醸造コンサルタントをイタリアの醸造家アルベルト・アントニーニが務めるが、ワイナリーの醸造責任者としてはエントレ・ペドラシュのアンドレ・リベイロが働いている。(2024年現在)
ワイナリーは当初ピコ島の南側にあったが、2024年に北側のサォン・ロケ地区に移った。ファイアル島のブドウは収穫後7km離れたピコ島へフェリーで運ばれ醸造される。アデガ・ド・ヴルカォンでの醸造も自然酵母醗酵で、円筒型や卵型のセメントタンクやトーストのしていない樽を使用し、醸造的にニュートラルでブドウの味わいをしっかりと感じられるよう、醸造設備が取り揃えられている。


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