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イタリア・カンパーニャ


Monte di Grazia 

モンテ・ディ・グラツィア


 カンパーニャらしい見事な個性を持ち素晴らしいワイン。
ここの作るトマト缶は最高!
Monte di Grazia / Bianco
モンテ・ディ・グラツィア / ビアンコ
 
トラモンティの地品種にて造られる白、中でもアマルフィ&トラモンティに起源を持つペペッラ。結実がまばらで完熟しても半数の粒は大きくならず、胡椒粒のように小さく、酸が高い粒が残るという個性をもつ。果皮も厚く味わいにも特徴があるこのブドウのみ、果皮と共に約1日の醗酵を行います。それから3つのブドウを合わせて醗酵&熟成。古くから3つのブドウを合わせて造られてきた土地の味わい。「土地・ブドウ由来の強い酸が、この土地の個性だと信じられてきた。でもそれは真実ではなく、強い酸に包み隠れているブドウの特徴を引き出すには、やはり時間をかけることが重要」、そう話すフォルトゥナート。タンクの中で1年、ボトル詰めしてから1年、現時点で約2年の熟成期間を取ったことで、溌剌とした酸と個性的な果実味、一般的な白ブドウには感じ得ないスパイスの感触は他の地域、ブドウでは感じ得ない味わいとなりました。非常に爽やかでいて、あとから味わいが追いかけてくるような幅の広さを感じる白ワインです!
Monte di Grazia / Bianco Spuritiglione
モンテ・ディ・グラツィア / ビアンコ スプルティリオーネ
 
ペペッラというブドウに非常に可能性を感じると話していたフォルトゥナート。アルフォンソのスタイルを守りつつも、実験的な醸造を行ったワイン。果皮が厚く特徴のあるペペッラだけを、果皮と共に約1週間の醗酵を行ってから、3つのブドウで醗酵・熟成を行った白。スプルティリオーネSpurtiglioneはナポリの方言でコウモリの意(pipistrelloコウモリ)。通常のビアンコに比べ、標高が100mほど高い畑のブドウが中心となっていることもあり、より強く酸を感じつつも、ペペッラからの果皮のニュアンスによって、丸み、厚みを感じる非常に個性的な味わい。標高が高いだけでなく、樹の仕立てが高いことも重なり、昨今の猛暑の影響を受けず、ブドウの収穫を遅らせても、糖度が上がり過ぎる事がなく、10.5%ALCという低さ。火山性土壌由来のミネラル、スパイスや柑橘のニュアンスを強く感じます。現時点ではまだまだ粗削りなイメージも感じますが、香りの広がり、味わいの幅広さ、とても可能性を感じるワインだと思います!
Monte di Grazia / Rosate
モンテ・ディ・グラツィア・ロサート
 
果皮だけではなく、果肉にも色素があるティントーレ。その個性を生かし、果皮との接触時間を取らず直接プレスして造られるロザート。それでも十分な色合いを持っていることに驚かされます。その色合いだけでなく、溌剌とした酸にも驚かされるロザート。背筋を正されるような鋭さ、そしてアセロラや柑橘を思わせる骨太な酸。そして土壌由来のミネラル分を舌先に感じます。一見「ただ酸っぱいだけ」と思われがちですが、早摘みの未熟さからくる酸味ではない、完熟した果実の持つ酸。酸味の奥にある甘味、味わい深さを感じていただけるワインだと思います。これほどの酸を持ったワイン、、やはりワイン単体よりも、強く食べ物を要求するワインであることは間違いありません!土地の名産でもあるトマトとの相性は言うまでもないですね
Monte di Grazia / IGT Campania - Rosso
モンテ・ディ・グラツィア / カンパーニャ・ロッソ
 
ティントーレという土地古来のブドウ品種を中心に造られる赤。果皮は薄くデリケートでありながら、果肉に強い色素を持つという個性的なブドウ。成熟が遅く収穫は平均しても10月以降になるという晩熟の黒ブドウ。しかしこのティントーレ、驚くほどに酸度が高く糖度が上がりづらいブドウ。「ティントーレの本当の魅力は、酸の奥にある果実の甘み、そして香りの複雑さ。他の黒ブドウにはないオリジナリティを持っている。でもそれをワインに感じるためには、長期間の熟成によって酸が和らぐのを待つしかない」、そう考えていたフォルトゥナート。タンクの中で2年、ボトル詰めしてから4年。現在6年のサイクルでリリースされるようになったロッソ。その表現力は昔とは比べようがありません!唯一の個性を表現した赤ワイン。ぜひ一度飲んでいただきたいワインです。
Monte di Grazia / Rosso Meglona
モンテ・ディ・グラツィア / ロッソ メローニャ
 
通常のロッソとは違った切り口で、フォルトゥナートが実験的に造り始めた赤。標高600m樹齢30年、5年ほど前に手に入れたブドウ畑より収穫。ピエディロッソはトラモンティのオリジナルではないですが、この土地の標高と特徴的な気候環境で栽培されたピエディロッソは、他の地域のそれとは明らかに異なる個性を見せます。ベースとなるピエディロッソに、ティントーレなど地品種も合わせて醸造。マセレーションの期間も短く、熟成した後の魅力を表現するのではなく、若々しさ、飲み心地を意識した赤ワイン。果実のフレッシュさ、飲み心地はもちろん素晴らしいのですが、タンニンが非常に果実的、硬さはありますが全く嫌味ではない特徴的な味わい。まだまだ実験的な生産ではありますが、これからが非常に楽しみなワインです!
Pomodori di Tramonti 400g
ポモドーリ・ディ・トラモンティ 400g
実はイタリア人の方から聞いたのですが、スーパーでよく売られているようなトマト缶のほとんどは中国などからトマトを輸入しイタリア産として出荷しているようです。特にダイストマトはかなりひどいらしいです。さてラシーヌの輸入したトマト缶はプチトマトのトマト缶。開けてちょっと舐めてみると濃いのです。以前テレビで見たことがあるのですが、トマト缶を作るとき彼らはトマトだけをドラム缶に入れて水も入れずに煮込んでいました。この缶もまさにそんな感じです。モンテ・ディ・グラツィアが長年付き合いのある人たちに特別分けているトマト缶でもありますので、通常は売っていないものなのです。私は長年、どうやったら美味しいトマトソースが作れるのか色々とやってきましたが、どうも大きな勘違いをしていたようで、要するにトマト自体が美味しくなければいくら時間をかけて煮詰めたところで美味しくならないということ。このトマト缶を使って早速アラビアータを作って見たのですが、あ~ら吃驚!滅茶苦茶旨いのです。まさに私の求めていた味わいそのもの。バジルと一緒に煮込んでいるからでしょうか。通常のトマト缶よりちょっと高いけど、このうまさを考えたら全然安いのです。それに余計なことをしなくてもこれさえ使えばこれだけで美味いのです。これは絶対に買いです。このトマト缶さえあれば普段の料理が大幅レベルアップ!!
 
 

モンテ・ディ・グラツィアとは

 
 

ビオロジックでの栽培はラッターリ山脈州立公園内の美しい自然環境への敬意と、これらの既に数世紀を生きているブドウ樹を少しでも長く生き長らえさせたいと思いから生まれた。ティントーレ、ピエディ・ロッソ、ビアンカ・テネラ、ジネストラ、ペペッラ。これらのブドウ品種はトラモンティ周辺でのみ見つかる土着品種である。アマルフィ海岸を見下ろす山間部に吹く風は昼と夜の温度変化を生みブドウに独特の特徴を与える。それらのブドウを使って先祖が造っていたのと同じような自然で伝統的な方法でワインを造る。
 
 今年の6月、南イタリアの3生産者を訪問しました。いずれの生産者も、この4月に取引開始が決まったもので、ワインは現地から出荷済み。なかには既に日本に到着しているものもあります。
訪問先のワイナリーは以下の3社です。
 

20148月 合田玲英のフィールド・ノートVol.22

 
 バジリカータ州:ムスト・カルメリターノ(Musto Carmelitano
 カンパニア州:グアスタフェッロ(Guastaferro) モンテ・ディ・グラッツィア(Monte di Grazia
 
 バジリカータとカンパニアの両州については、南ゆえに暑いのだろうくらいの知識でした。確かにトリノから夜行列車でカンパニア州サレルノに到着した時は少しだけ暑く感じました。けれども、ワイナリーのある内陸部の方へ車を走らせると、すぐに斜面を登り始め、風も強いため、決して暑いところではありません。ヴィニタリーの期間中にグアスタフェッロとムスト・カルメリターノのワインを飲んだ時にも、南のワインなのに暑苦しさやベタつき感がなく、冷涼地のワインのような爽やかな酸があったことを覚えています。収穫も10月に入ってからで、トスカーナや南仏に比べても収穫を始めるのがずいぶんと遅い。またヴェズヴィオ山以外にも多くの火山のあるカンパニア州には、フィロキセラ禍を免れた古い畑が少なからず残っていて、両ワイナリーでも樹齢が100歳を優に超えるブドウ樹が多く見つかります。
 
《モンテ・ディ・グラッツィア》 カンパニア州サレルノ県トラモンティ
 
 オーナーのアルフォンソ・アルピーノとは試飲会で何度か会い、彼のワインを飲んで感銘をうけ、畑の写真も見せてもらっていました。それだけに、見に行きたいと強く思っていました。トラモンティ村は海辺から10㎞もありませんが、海抜350メートルに位置しているのに、かなり涼しく感じます。
 
 アルフォンソが最初に案内してくれたのは、レモン畑でした。スフザート・ダマルフィ(sfusato d’amalfi)と呼ばれるレモンはアマルフィの特産で、酸味が強くなくほんのりと甘みがあります。他のかんきつ類と同じくそのままでも食べられますが、アルフォンソは皮ごと食べていました。僕はレモンの生の皮は中々食べなれませんでしたが、刺激が少なくとても爽やかでした。レモンの皮をコーヒーに入れて飲んだりもしていましたし、皮をアルコールに漬け込んで作るリモンチェッロも有名です。アルピーノ家では、アルフォンソがワインを造り、奥さんのアンナがリモンチェッロを造っていますが、アルフォンソによれば「アンナじゃないとこんなにおいしいのは作れない」とか。アンナの両親もまた生前にレモン造りをしていて、今所有しているレモン畑は彼らから引き継いだものです。二人の住んでいた畑の真ん中にある家は、現在は物置や作業中の休憩場所になっていて、森に囲まれたとても静かなところです。綺麗な湧水の流れる小川があり、レモンをくり抜いた器で喉を潤しました。
 
 この地域をよく分かるようにと、案内された高台から見ると、海の間近まで山と森が迫り、海岸付近は一面のレモン畑で、山に入るとブドウ畑が見られます。レモンは船での輸送に便利なように、海辺で栽培されてきました。山がちな地形に段々畑を作り、木は低めに、横に広げるように仕立ててあります。一つの枝にたくさんの実があるので折れてしまわないように、栗の木でしっかり組んだ棚に伸びた枝を任せるのが伝統です。山に住む人にとっては、海辺の人が持ってくるレモンはとても貴重なもので、お礼に山の水とワインを返したそうです。ワインは飲み水に入れて、水分を長く保存するためにも使われてきました。また、レモンとともに貴重だったのが、スパゲッティ・アッレ・ヴォンゴレに使う、パセリ。なんでも、レモンの木の下で育ったパセリが一番なのだとか。このパセリと上質なオリーブオイルが、おいしいヴォンゴレを作る秘訣だそうです。
 

 ブドウとレモンのどちらが先に栽培されたのかは分かりませんが、ブドウの株もレモンと同じように、栗の木で組まれた棚に仕立てます(アルベラータ仕立て)。樹齢100歳以上の株が何本もあり、全て優良な株のクローンで自根なのです。枝や株の括り付けには、サリーチェ(ヤナギ科)というしなやかな木の枝を使うのが通例。垣根を組むための栗の木も地域で植林しており、毎年森の一部を切っては、また10数年後の為に準備をします。よって、海辺から内陸に向かってレモン畑、ブドウ畑、栗林という光景が広がっています。地域に住む多くの人々(年齢層は高いですが)は、いずれかの職業に従事しており、古い伝統のままに今も生きています。 
 
 アルフォンソが醸造を始めたのは、10年前。最初の数年は酵母添加をしていましたが、2010年から赤ワインを、2012年から白ワインを自然酵母で醸造するようになりました。彼がワイナリーを始める前の2000年に作った赤ワインには、酸化防止剤も選別酵母も入っていませんでした。「僕の原点はここだ」と彼は言っていましたが、色素が強く瓶に成分が大量にこびりつくティントーレ種や、ボトル内で沈殿物が析出するのを恐れワイナリーを設立してからは、ビン詰前にフィルターを通しています。しかし多くの試飲会に出るうち、沢山の人が自然酵母やフィルターを通していないワインに価値を見出しているのをみて、少しずつ考えが変わってきているようです。
 
 トラモンティで栽培されている品種は、赤ワインはティントーレ、ピエディ・ロッソ、白はビアンカ・テネラ、ペペッラ、ジネストラです。どれも聞きなれない品種ですが、この地域の土着の品種で、どれも上記のアルベラータ仕立てで大きく広く育てられます。
 
《赤ワイン用品種》
*ティントーレ:色素の非常に濃いこの品種はしばしば、色使い(Tintore:色を与える人)と呼ばれる。
*ピエディ・ロッソ(赤い脚):茎が鳩の足のような暗い赤色になることからこのように呼ばれる。
 
《白ワイン用品種》
*ペペッラ:大きな粒が少しと、胡椒(pepe)のように小さな粒のような実を成らせる。
*ジネストラ:薄緑に反射させるブドウ果が、同名の薄緑色の植物(エニシダ)に似ている。
*ビアンカ・テネラ:果実がとても繊細で、柔らかい(tenera)ことから。
 
 どの品種も、特にティントーレは樹勢が強いことから高く大きく、多くの房を成らせるように仕立てられています。畑はどれも山の斜面にあり、株同士の間隔は2.5mで一か所に苗を3つ植えています。一番低い畑は270m、高い畑は550mにあります。そのため、下の畑でブドウの花の開化が始まっているのに、上の畑では実がなったばかりというように、ミクロクリマの変化が畑ごとに大きく、それらを混醸することで複雑な味わいのワインが生まれます。
 
 セラーはいたってシンプルで、アグリトゥーリズモの1階部分にあり、2つの中くらいのステンレスタンクと小さなステンレスタンク、今年2014年にようやく赤ワインの熟成用として大樽2000Lを買いました。生産量も年間8000本に満たず、医者(アルフォンソ)と看護婦(アンナ)の職業を現在も続けながらワイン造りをしています。
 
 シチリアを除くと、初めての南イタリア訪問でしたが、いいものが沢山残っているのだからもっと注目をされてほしいと思いました。フランス映画をイタリア語版に焼き直した、“Benvenuto al Sud”(南イタリアへようこそ!)という映画があります。ミラノ近郊に住むイタリア人がナポリへ赴任することになり、ミラノの友人にさんざんあいつらは野蛮だのなんだの脅かされながら、最後にはナポリの友人と深い友情を築くコメディーです。映画の中での描かれ方はもちろん極端ですが、少しいい加減でその10倍楽しい人たちから出来るワインを、是非楽しんでほしいものです。みな(畑の作業はもちろん大変ですが)のんびりと暮らしています。しかし特に若い人たちが、より真剣に危機感を持って自分の住む地域と地域のワインのことについて考えている熱意が伝わりました。


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