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Champage Marguet  シャンパーニュ・マルゲ



Champage Marguet 
シャンパーニュ・マルゲ
 
シャンパーニュ

フランス・シャンパーニュ


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Champage Marguet
シャンパーニュ・マルゲ
 泡や酸が非常に穏やかで優しく質が非常に高く
それでいて わかりやすい味わいで、
エルヴェ・ジェスタンが共に同じ
キュヴェを 作るほどに注目の的であるマルゲ。
人柄がそのままシャンパンに出ているような
実に優しく魅力的な姿です。
素晴らしい畑を所有し最近は細かく区画を分けいろいろな
キュヴェを リリースしています。
現代派のシャンパンとしてその区画ごとの特徴を
見事に表現しています。
比較的酸は弱めで実に優しい姿をしています。

 
 
 
 
 
 
 

Brut Nature Ay Grand Cru 2013
Extra Brut - Premier Cru Sapience 
エクストラ・ブリュット プルミエ・クリュ・サピエンス 
品種:ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネ
樽で発酵
樽(225L)で9ヶ月間熟成
ブノワ「キュヴェ・サピエンスを造るにあたり、例えば、コトー・シャ ンプノワであっても良かったのかもしれない。けれども、シャンパーニュであるということで、前に進む 事柄もあるはずだ。自然のエネルギー、大地からのメッセージがシャンパーニュという形を取っているのであって、大事なのはメッセージだ。サピエンスが泡を持っている、シャンパーニュであるということの意味も、そこにある。」ブドウは、ダヴィッド・レクラパール、ヴァンサン・ラヴァル、ブノワ・ライエのセロスに続きRMの存在感を世界に知らしめた、実力派3生産者からの買いブドウ。このサピエンスという特別なワインを造るうえで、あえて買いブドウで造ることにしたのは、サピエンスのテーマの1つでもある”調和”、多くの人をあえて関わらせることでしかできないものを造り出したいという、思いから。
Brut Nature - Les Cray?res Grand Cru 2011
Brut Nature - Les Crayeres Grand Cru
ブリュット・ナチュール レ・クレイエール グラン・クリュ
品種:シャルドネ、ピノ・ノワール
植樹:1965年、1970年
位置:標高125m、北西
土壌:粘土質
樽で発酵
樽(225L)で9ヶ月間熟成
非常に軽いシャンパーニュ。時にフローラルでいてフルーティー、ミネラル感があり非常に繊細。非常に澄んだピュアなワイン。
Extra Brut - Shaman 16 Rose Grand Cru
Extra Brut - Shaman 17 Rose Grand Cru
エクストラ・ブリュット シャーマン17 ロゼ グラン・クリュ
品種:ピノ・ノワール、シャルドネ
植樹:1970年代
位置:標高120~180m, 南東向き
土壌:白亜・粘土質、シルト粘土質、白亜質、白亜上のトゥーフォ
樽で発酵
樽(225L)で9ヶ月間熟成
ロゼ・ド・アセンブラージュ。
シャーマン・ブランとロゼ、それぞれのベースの白ワインは同じではありません。どちらも非常に異なったスタイルを持っています。
シャーマン・ブランの前にシャーマン・ロゼを飲むことをおすすめします。なぜならシャーマン・ロゼはシャルドネの比率が高いのに対し、ブランの方はピノ・ノワールの比率が高いからです。

Brut Nature Ay Grand Cru 2013
Extra Brut - Oiry Grand Cru
エクストラ・ブリュット オワリィ グラン・クリュ
品種:シャルドネ100%
樽で発酵
樽(225L)で9ヶ月間熟成
コート・ド・ブランに拠点をもつ、造り手からブドウを購入しており、その造り手もまた、エルヴェ・ジェスタンの考えに影響を受け、ビオディナミ農法でブドウを栽培をしている。
畑を選ぶ基準は、畑の品種構成なども重要だが、一番大事なのは、樹齢の高さ。樹齢が高く、すなわち根を深く下した畑を持つ栽培家と契約している。区画の中心部のみからブドウを選び、他の畑と隣接している部分のブドウは使わない。
Extra Brut - Premier Cru Sapience 2007
Extra Brut - Les Beurys Grand Cru 
エクストラ・ブリュット レ・ブリー グラン・クリュ
品種:シャルドネ主体 ピノ・ノワール
植樹:1980年、1981年
位置:東、西向き、0.39ha
土壌:粘土質、シルト、その下にチョーク
樽で発酵
樽(225L)で9ヶ月間熟成
リュー・ディシリーズは、シャンパーニュ・マルゲの本拠地であるアンボネの丘にある単一畑で、樹齢も古く、ブノワ・マルゲにとっても特に重要な畑ばかり。
Brut Nature - Avize et Cramant Grand Cru 2012
Brut Nature - Avize et Cramant Grand Cru
ブリュット・ナチュール アヴィズ・エ・クラマン グラン・クリュ
品種:シャルドネ100%
植樹:1971年、1982年
位置:南向き、東向き
樽で発酵
樽(225L)で9ヶ月間熟成
買いブドウ。デメターのビオディナミ認証をうけている。
区画の中心部のみからブドウを選び、他の畑と隣接している部分のブドウは使わない。
Les Chantereines (アヴィズ村)・・・南向き 1971年植樹
Les Fourches du Levant(クラマン村)・・・東向き 1982年植樹

Extra Brut - Premier Cru Sapience 2008
Extra Brut - Ambonnay Rose Grand Cru 2012
エクストラ・ブリュット・アンボネ・ロゼ・グラン・クリュ 2012
品種:シャルドネ、ピノ・ノワール
植樹:
位置:標高130m、南東
土壌:粘土質
樽で全房発酵を行い、ピジャージュしながら3週間マセレーション
樽で9ヶ月間熟成
ロゼ・ド・アセンブラージュ。アンボネ村にある複数の、土壌の違う畑のブレンド。アンボネ村のテロワールを可能な限り、忠実に表現しようとした作品。また、それを可能にするのは1975年より前に植えられた古樹だから出来ることでもある。同じ村の畑でも、大きく異なるテロワールのハーモニーが、感じられるキュヴェ。
Extra Brut - Elements 16 Grand Cru
Extra Brut - Elements 16 Grand Cru
エクストラ・ブリュット シャーマン16 グラン・クリュ
品種:ピノ・ノワール主体、シャルドネ
植樹:1970年代
位置:標高120~180m、南東向き
土壌:白亜・粘土質、シルト粘土質、白亜質、白亜上のトゥーフォ
樽で発酵
樽(225L)で9ヶ月間熟成
ブドウはアンボネ村とブージィ村の自社畑のみ。ヴァン・クレールでの熟成の段階で、より熟成が進んでいるものを選びます。ただし、その他の単一クリュのヴァン・クレールをブレンドすることもあります。例えば、ビューリー、サン・レミー、クレイエール、ベルモン、グランド・リュエルなどの、単一クローンが多く植えられた1975年より前に植樹された畑などです。
 
リザーヴワインは、バリックもしくはフードルで熟成されていて、ブレンド比率は通常15~30%。一部2013年からのソレラシステムを採用している。
 
ノン・ヴィンテージワインとしてリリースしているが、メインラベル上の数字は収穫年のブドウが、キュヴェ・シャーマンの約80%を占める原料となっていることを、消費者に伝えるために表記している。これは、原材料の不透明なシャンパーニュ業界へ向けた、その年の個性や、畑の周りの環境を大切にしたい、ブノワなりのメッセージ。
Brut Nature Chouilly Grand Cru 2013
Brut Nature Chouilly Grand Cru
ブリュット・ナチュール シュイイー グラン・クリュ
品種:シャルドネ100%
植樹:1965年
位置:東向き
土壌:石灰粘土質
樽で発酵
樽(225L)で9ヶ月間熟成
畑を選ぶ基準は、畑の品種構成などもありますが、一番大事なのは、樹齢の高い畑と契約することです。
 

Extra Brut - Premier Cru Sapience 2007
Extra Brut - Yuman
エキストラ・ブリュット・ユマン
品種:シャルドネ100%
位置:標高150m
土壌:粘土石灰質
ステンレスタンクと樽で発酵
ステンレスタンクと樽で9ヶ月間熟成
複数のプルミエ・クリュからのブレンドのブラン・ド・ブランで、シャーマンとは弟分のような、メゾンの入り口となるシャンパーニュ。
2015年VTが初ヴィンテージで、ステンレスタンクでの醸造が大部分。ブノワによれば、ステンレスタンク醸造のものは、総じて、ガス圧が同じでも、味わいとして泡の印象が弱くなるそうだが、彼の言う通り、
Extra Brut - Premier Cru Sapience 2008
Extra Brut - Ambonnay Rose Grand Cru 
エクストラ・ブリュット・アンボネ・ロゼ・グラン・クリュ
品種:シャルドネ、ピノ・ノワール
植樹:
位置:標高130m、南東
土壌:粘土質
樽で全房発酵を行い、ピジャージュしながら3週間マセレーション
樽で9ヶ月間熟成
ロゼ・ド・アセンブラージュ。アンボネ村にある複数の、土壌の違う畑のブレンド。アンボネ村のテロワールを可能な限り、忠実に表現しようとした作品。また、それを可能にするのは1975年より前に植えられた古樹だから出来ることでもある。同じ村の畑でも、大きく異なるテロワールのハーモニーが、感じられるキュヴェ。
Brut Nature Ay Grand Cru 2013
Brut Nature Ay Grand Cru 
ブリュット・ナチュール アイ グラン・クリュ
品種:ピノ・ノワール、シャルドネ
植樹:1970年
位置:南西向き
土壌:粘土石灰質
樽で発酵
樽(225L)で9ヶ月間熟成
畑を選ぶ基準は、畑の品種構成などもありますが、一番大事なのは、樹齢の高い畑と契約することです。

Brut Nature Ay Grand Cru 2013
Extra Brut Les Saints Remys 2014
エキストラ・ブリュット・レ・サン・レミ 2014 
品種:ピノ・ノワール
植樹年:1960年代
位置:標高125m
土壌:粘土石灰質
樽で発酵
樽(225L)で9ヶ月間熟成
リュー・ディシリーズは、シャンパーニュ・マルゲの本拠地であるアンボネの丘にある単一畑で、樹齢も古く、ブノワ・マルゲにとっても特に重要な、畑ばかり。レ・サン・レミーはアンボネの丘の中腹に位置する。アンボネは、シャルドネに適した土壌が多いが、表土が厚く粘土質の強い、赤品種の果実味を引き出せる土壌。
Extra Brut - Premier Cru Sapience 2007
Les Bermonts Brut - Nature Grand Cru 2014
レ・ベルモン ブリュット・ナチュール グラン・クリュ 2014
品種:シャルドネ
植樹年:1952年
位置:標高120m、東向き
土壌:シルト粘土質
樽で発酵
樽(225L)で9ヶ月間熟成
アンボネの村近くの、このレ・ベルモンのテロワールの真価を知っているヴィニュロンは少なく、評価もされていない。しかしながら誰の手も加えられてこなかったこの土壌、は卓越している。一方にはローム、もう一方には粘土、そして深さ75cmにはチョークが層を重ねている。明るい色の土壌で、シャルドネの栽培地として最適だ。この1952年に植えられたブドウ樹のセレクションは素晴らしい。ブノワ自身、このワインに秘められた若さゆえのエネルギーと抑制された力のもたらす「精度の高さ」が好きだという。ブノワにとって一目ぼれ(大変お気に入り)のワイン。穏やかにみせてエネルギーに満ちた非常に緻密な仕上がり。
Brut Nature - Le Parc Grand Cru 2014
ブリュット・ナチュール ル・パルク グラン・クリュ 2014
品種:シャルドネ
植樹年:1982年(セレクション・マサル)
位置:標高125m、南東向き
土壌:深さ2mまでトゥーフォ、その下は堅いチョーク
樽で発酵
樽(225L)で9ヶ月間熟成
リュー・ディシリーズは、シャンパーニュ・マルゲの本拠地であるアンボネの丘にある単一畑で、樹齢も古く、ブノワ・マルゲにとっても特に重要な、畑ばかり。凝灰岩や石灰華(トゥーフォ)のみの、村の中でも特異で意外性のあるテロワール。畑は風が良く吹き、霜に弱く、草が生い茂っていて、シャルドネにはうってつけの環境。クロ・ダンボネとも隣接するル・パルクの畑は、メゾンの中でも特に重要な畑であり、トゥーフォとチョークにより構成された強い石灰岩質土壌は、ピノ・ノワールではなく、まさにシャルドネにうってつけの土壌だとブノワは豪語する。

Brut Nature - Les Cray?res Grand Cru 2011
Extra Brut Trepail Premier Cru 2014
エキストラ・ブリュット・トレパイユ・プルミエ・クリュ 2014 
品種:シャルドネ
樽で発酵
樽(225L)で9ヶ月間熟成
サピエンス用としてもブドウを提供しているダヴィッド・レクラパールからの買いブドウ。
畑を選ぶ基準は、畑の品種構成なども重要だが、一番大事なのは、樹齢の高さ。樹齢が高く、すなわち根を深く下した畑を持つ栽培家と契約している。
Brut Nature Chouilly Grand Cru 2013
Brut Nature Cramant Grand Cru 2014
ブリュット・ナチュール・クラマン・グラン・クリュ 2014
品種:シャルドネ
樽で発酵
樽(225L)で9ヶ月間熟成
コート・ド・ブランに拠点をもつ、造り手からブドウを購入しており、その造り手もまた、エルヴェ・ジェスタンの考えに影響を受け、ビオディナミ農法でブドウを栽培をしている。
畑を選ぶ基準は、畑の品種構成なども重要だが、一番大事なのは、樹齢の高さ。樹齢が高く、すなわち根を深く下した畑を持つ栽培家と契約している。
Brut Nature Bouzy Grand Cru 2013
Brut Nature Bouzy Grand Cru 2013
ブリュット・ナチュール ブージィ グラン・クリュ
品種:ピノ・ノワール75%、シャルドネ25%
植樹:1962年(3分の2),2004年(3分の1)
位置:南向き
土壌:粘土石灰質
樽で発酵
樽(225L)で9ヶ月間熟成
自社畑。

 
 

マルゲとは

 
 
 
Benoît Marguet
ブノワ・マルゲ
 Champagne Ambonnay
 

1870年に創立し、1905年からビン詰めを始めました。現オウナーであり、栽培と醸造のマネージャーのブノワ・マルゲは、5代目にあたります。現在Marguet-Bonnerave(マルゲ=ボンヌラーヴ)一家は、5つのグランクリュ村(アンボネ、ブジィ、マイィ、シルリィ、ヴェルズネイ)と、セカンドクリュ(エペルネ)に畑を保有しています。しかし優れた畑を所有しているだけでは優れたシャンパーニュができるわけではなく、現実はより複雑です。優れたワインを造ることは、毎日が挑戦です。すなわち、勤勉に働き、ブドウ畑を観察し、自分のワインと密接に関わり、最良の決断をしようとすることです。定時にだけ働くという時間仕事とはまったく違います。多いなる情熱と広い心持ち、そして献身の結果、大きな喜びと満足感が得られるのです。
創業年:1870年
畑面積:13.6ha
栽培:2009年よりビオディナミを開始、2010年から馬での耕作を開始
平均樹齢:38年
 全てのリューディで、クロード・ブルギニョンの協力を得て仕事をしている。ビオディナミ農法で育てられたセレクションマッサルの苗木を使用。201年より馬での耕作を開始。醸造は小樽、中樽、フードルを使用して100%自然発酵、長期間シュールリで熟成、全ての作業段階でSO2の添加は無しか極々微量。ワインは一貫してNaturopathie(ホメオパシーのもじりと思われる)、リキュールは全てのジェロボアム瓶で保管、ドザージュは全てのキュヴェでExtra Brutの範囲。
年間平均生産量:120000本

ブノワ・マルゲの飽くなき挑戦

合田泰子
2011年5月
 
 輝かしい発展途上にあるシャンパーニュの造り手を、もう一人ご紹介いたします。醸造家ブノワ・マルゲについては、『ワイナート48号』(2009年1月、シャンパーニュの未来図)で、田中克幸氏が精細にリポートされましたので、シャンパーニュの新動向に深い関心のある皆様は、すでにご存知のことでしょう。今後益々楽しみな造り手の登場です。
 
マルゲ(ペーレ・エ・フィス)については、樽試飲を通じて醸造家ブノワ・マルゲの確実な歩みを理解し、将来性を確信していました。が、訪問して最初の数年間は、まだ革新の成果が商品としてのワインに現れ出ていなかったので、良心的な価格ながら扱いを見送ってきました。思えば、生産者とインポーターの双方にとって、耐えなければならない苦しい時期でした。そして、本格的な変身の先駆けとなるシャンパーニュ・ロゼがリリースされたのをきっかけとして、本年ようやく胸を張ってご紹介できることになりました。
 
といっても、現在セラーで静かに眠っている2008,2009,2010のリリースの時を、今かと待ち構えるわくわくとした気持ちを抑えることができません。100%有機栽培に転換した、2010年ベースのキュヴェがリリースされるのはまだ4年先です。また数年後には、ビオディナミ農法のブドウを用い、可能な限り自然な醸造方法に挑む造りから生まれる、比類のないグラン・クリュ・シャンパーニュがリリースされる段取りなのです。ともかく、いよいよ2012年に純粋かつ偉大な味わいのグランクリュ・シャンパーニュがお目見えしますので、どうぞお楽しみに。今回のリリースは、《驚くべき予告編》第一弾といっていいでしょう。
 
  さて、ブノワ・マルゲの新時代を語るにはやはり、シャンパーニュで活躍する今や伝説的なエノローグとなりつつある、エルヴェ・ジェスタン(後掲の合田エッセイ「エルヴェ・ジュスタンから学ぶ」をご参照ください)のことから説明しなくてはなりません。ブノワ・マルゲは有機栽培に興味をもち、2004年にデュヴァル・ルロワ社でシェフ・ド・カーヴ(醸造長)を務めていたエルヴェ・ジェスタンを訪ねました。以来、栽培・醸造の両面でエルヴェに導かれながら、新たな道に開眼し、2006年から本格的に二人の共同作業が始まりました。
 
  5つのグランクリュ村(アンボネ、ブジィ、マイィ、シルリィ、ヴェルズネイ)を含む13.6haの畑をもつ、歴史あるドメーヌの5代目であるブノワにとって、有機栽培に転換することは大変な困難を伴いました。古いネゴシアンを経営する夫人の両親の猛反対と、マルゲ家内や親戚の反対という挟み撃ちは、グラン・クリュに広い畑を持つ古い家柄にありがちな困難なのですが、ことは夫人との離婚にまで発展しました。にもかかわらずブノワは、あえて、売り易いが個性や品格に欠ける凡庸なシャンパーニュ作りを脱し、同志エルヴェ・ジュスタンとともに、新たな可能性に向かって強く前進し始めたのです。
 
 
 このたびご案内するシャンパーニュ3点は、
ブリュット・トラディション・ブラン・ド・ノワール(2006+2007)、ブリュット・レゼルヴ・グランクリュ(2005+2006)、ブリュット・ロゼ・グラン・クリュ(2006+2007)。いずれも、ブノワが追求する目標への発展途上にあるとはいえ、昨年/1昨年/1昨々年にリリースされたキュヴェと比べると、すでに全く違ったステージに立っています。
 

エルヴェ・ジェスタンから学ぶ

(『ラシーヌ便り』no.51 2009年12月 合田泰子・記)
 
(…)ところで、エルヴェ・ジェスタンの名をご存じでしょうか。『ワイナート』2009年1月号/「シャンパーニュの未来図」に、編集主幹の田中克幸さんによって詳しく紹介された、シャンパーニュで活躍する栽培・醸造のエノローグです。この春、エペルネのサロンでお目にかかり、見るからに優しく静かな人柄の奥に潜む、鋭いまなざしに惹かれました。多忙を極めるエルヴェとは、このたびエペルネのレストランで食事をしながら話をすることができました。実際に会うと、経験に裏打ちされ、アイデアにあふれ、深い洞察力のある彼から言葉は途切れることなく、談笑のうちに4時間余りの夕べは、またたく間に過ぎてしまいました。この夜は、彼が長年シェフ・ド・カーヴを務めていたデュヴァル・ルロワの「トレパイユ1998」が幸いオンリストされていたので、ともに味わうことができました。じつはこのシャンパーニュ、ダヴィッド・レクラパールから買い求めたビオディナミによるブドウから、エルヴェが実験的に造ったものです。
 私はル・テロワールを営んでいたころ、ダヴィッドのシャンパーニュをその第一作から紹介していたので、さまざまな視点からトレパイユ1998を興味深く楽しむことができました。
 
エルヴェその人については、『ワイナート』の特集記事から、なにか神秘主義な思考の強い、ある種マジシャンのような人物だと、想像していました。が、現実の彼は、深く考えて大胆な仮説をつくり、実験によって検証しながら独創的なアイデアの実現にひたむきな努力をする人でした。「ドン・ペリニョンの亡くなった9月14日が私の誕生日で、不思議な縁を感じます」と、笑いながら話すエルヴェ。大地の精を結実するブドウをワインに育てる過程は、自然とのメッセージ交換でもあると考える彼は、目に見えない影響力を及ぼす宇宙と世界のパワーを生かしたシャンパーニュ造りを実践しています。ワインがおのずと美しく育つために、醸造過程でさまざまな阻害要因をとり除く工夫を施すエルヴェの方法は、かつてドン・ペリニョンが鋭い感覚と洞察力でシャンパーニュを仕上げていった史実と重なりあいます。
 
「世界には、フランスよりブドウ栽培に適した気候に恵まれたところがいくつもある。とすれば、シャンパーニュの生き残る道は、最上のクオリティを造りだす以外にない。なのに、メゾンはラベルやパッケージにばかりお金をかける。実際シャンパーニュは、生産工程そのものに大変コストがかかることを、もっと市場が理解してほしい。‘‘コストにふさわしいビンの中身‘‘を作らなければいけない。そのために、私の魂がここにあるシャンパーニュの地で、勇気ある造り手たちと情熱を共有しながら、仕事をしたいと思っているのです」と、エルヴェ。
 
だからこそ、単なるお金儲けのためにコンサルティングを引き受けることはなく、意欲的な造り手との共感に支えられながら、いよいよ大胆なプロジェクトを構想して進めていくのです。その彼が、地質分析の第一人者で、これまた独創的なクロード・ブルギニョンに敬意を払うのは、あまりにも当然のことです。いまや国際的にワイン造りを指導し、提言を続けるエルヴェの生き方に、大げさにいえば、シャンパーニュだけでなく、ワインの未来が大きくかかっている、と実感しました。
 
エルヴェとの情熱的な会話をつうじて、そのような予感と未来への確信を、私はひしと感じとることができたのです。このようにエルヴェと話し合うなかで私の心の中に生まれた、感情の共有と生き方への共感をかみしめることから、今回の旅を始めることができるのは、なんという幸せでしょうか。ラシーヌもまた、エルヴェに学びながら、皆さまと共に少しずつ前進を重ねていきたいと願っています。

 


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